大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(あ)2227 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における未決勾留日数中三〇日を懲役刑に算入する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人加藤晃上告趣意第一点について。

本件第一審判決主文は、「被告人を懲役一年及び罰金二〇〇〇円に処する」とあ

るのに、原判決は、その主文において「本件控訴を棄却する。当審における未決勾

留日数中六〇日を本刑に算入する」とのみ判示し、控訴審における右六〇日の未決

勾留日数を被告人に対する懲役刑に算入するのか或は罰金刑に算入するのか又はそ

の双方に算入するのかを明示していないことは所論のとおりである。そしてかゝる

場合、右いずれの言渡刑に算入するかを明示するのが妥当ではあるが、さればとい

つて、所論のごとく、原判決の前記主文を、右未決勾留日数を懲役刑のみではなく、

罰金刑にも算入したものと解さなければならないものではない。殊に原判決の主文

並に法令の適用の部を見ると、未決勾留日数の一日を罰金額の幾程に折算して罰金

刑に算入するかを明示していない事実及び第一審の懲役刑が一年であつて、右未決

勾留日数六〇日を、優に通算し得る刑である事実に鑑みれば、原判決の前記主文は、

右未決勾留日数を第一審判決の懲役刑のみに算入した趣旨と解するのを相当とする、

右と見解を異にする所論引用の仙台高等裁判所秋田支部の判例は、これを是認し難

い。のみならず、原判決は右判例と相反する判断をしたものとは認められず、論旨

又右判例違反を主張するものとも認め難い。所論は結局原判決の解釈の問題に過ぎ

ないから、本論旨は刑訴四〇五条にあたらず従つて適法な上告理由とならない。

同第二点について。

所論は、刑訴四〇五条に規定する事由にあたらないこと明らかである。のみなら

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ず第一審判決を本件記録と対照して検討付すれば第一審判決がその第一、第二事実

を認定する証拠として挙示した「Cに対する司法警察員供述調書」とは本件記録に

存し、且つ第一審公判廷で適法に証拠調を経た、Cの司法警察員に対する第一回供

述調書謄本を指称し、その誤記であること明らかである。論旨は適法な上告理由と

ならない。

同第三点について。

所論も亦刑訴四〇五条に規定する事由にあたらないこと明らかである。のみなら

ず、昭和二五年五月一三日午後五時から同月一八日午後八時迄の間に、判示衣類二

点と時計一個を何者かに盗まれたという被害者Aの盗難被害届と、同月一八日頃と

同月一九日、被告人から頼まれて右被害品たる衣類二点と、時計一個とを被告人の

ために入質してやつたというBの供述とを綜合して、被告人が同年五月中旬頃、A

所有の右衣類二点及時計個を窃取した事実を認定しても、必ずしも経験則に反する

ものとはいえない。論旨は上告適法の理由とならない。

被告人の上告趣意について。

右は、事実誤認の主張で上告適法の理由とならない。尚、記録を精査するも、本

件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて、刑訴四一四条、三八六条一項三号、一八一条、刑法二一条を適用し、主

文のとおり決定する。

この裁判は、裁判官全員一致の意見によるものである。

昭和二六年一一月二七日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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裁判官藤田八郎は出張につき署名押印することができない。

裁判長裁判官 栗 山 茂

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